マンガンと言えば、マンガン鉱山の産出標本が一般的です。北海道ではマンガン鉱山が沢山ありました。その中でも稲倉鉱山や大江鉱山などが特に有名で、博物館や大学主催の地質巡検でも訪問されているようです。
その他にもマンガン鉱山が点在していたので、付近の河川では、転石としてマンガンを見かける事もあります。川の上流にマンガン鉱山や露頭があれば、ごくまれではありますが、河口付近の海岸で転石を見かける事もあります。
下の写真は脈状にマンガンが貫入している露頭です。(白く写る脈)
マンガンの露頭を見る機会は、なかなかありません。
下の写真の岩石は、露頭近くの転石採取標本です。マンガンはこのような細い脈状でも、30倍程度のルーペで見ますとはっきりとしたマンガン独自の表情を確認できます。
29.5×16.8×8.3㎝
24×27×6.2㎝
八雲鉱山のマンガン鉱の採取は、近くを流れる河原で見つけることができました。河原の転石として転がっているマンガンは、長年の水の流れで角がすべて丸く削られていました。近くにマンガンを採取した八雲鉱山から産出したものが、自然にこの地に転がっていたものかは微妙でした。
すべての転石は表面が見事に酸化がすすみ、黒々と光を放っていました。マンガン系の黒光りは、他の黒色系の色をもつ岩石とは、黒の光り方が微妙に異なっています。私は視力がかなり低いので、逆にこの違いが瞬時に見分けがつきます。ですが、視力が普通の人にとってはこの違いが理解しにくいようでした。数人がかりで30分くらい探しても、見つからなかったものが、私が河原を足早に「これ!・・・これ、あれ・・と」瞬時に見分けることができました。ただ不思議なことに、手のこぶし大以下の転石は一個もありませんでした。多分、すでに採取されていたのでしょうか?
追記 この採取地に向かう途中の道の一か所に、今にも崩れ落ちそうな場所がありました。基本的には、車で往来するにはとても大きなリスクを抱えている状態なので、この地を訪れる方は徒歩をお勧めします。
この岩礁は、海水の満ち引きの状態により、渡れることがあるそうです。私たちの訪問時は、運よく容易に渡ることができました。もちろん、目の不自由な私はカメラの望遠レンズ越しでの参加でした。
海の中にあるマンガンを含む岩礁は、太陽の光、海水、風、波などにさらされ、岩礁の表面の岩はとてももろくなっている。下の写真はそんな石を採取したものですが、ルーペなどでよくよく観察してみると、マンガンを含むことがよくわかる。岩石に興味のない人たちにとっては、明らかにただの汚い石ですね。
ひょっとすると加納輝石も含まれている可能性があります。