≪十勝石と呼ばれた黒曜石≫

 昔、札幌の農家の畑でも、黒曜石で出来た矢じりを見かける事がありました。そして、丸いおにぎりのような黒曜石。表面は決まって、白くざらついていましたが、その石を割るとガラス状の割れ目と共に、鋭い割れ口が表れます。子供たちの中にもこの黒曜石こと「十勝石」を持っている人は、意外と多かったように記憶しております。

 名前が示すとおりに「十勝石」と言えば、「十勝で採れる石」くらいの認識でしたが、札幌近郊では、赤井川地域で黒曜石が見つかります。けれども、その事は意外と知る人は少ないようです。

 昔は、十勝地方の河川ではとても容易に十勝石が拾えましたが、最近では限られた地域以外では見つけにくいようです。

 

 


≪赤井川の黒曜石が埋まっている 地層≫

 

 偶然ですが、黒曜石が埋まっている地層を発見しました。この地層に含まれる黒曜石は、手のこぶし大の大きさから、こぶし二つ程度の大きさのものが確認できました。


 ここの黒曜石の第一印象は、「とても新鮮な黒曜石だ!」というのが不思議な程とても強く感じました。


 ここの黒曜石をよく観察しますと、水や風の浸食の跡が肉眼では確認できませんでした。特にこの地層を掘り起こしてはいないので、地表で確認できる岩石に限られましたが、素人考えを膨らますと多分、もともとあった黒曜石の岩盤を火山噴火で吹き飛ばした岩石ではないか?また、噴火の力はそれほど強くなく、火口より飛ばした岩石の距離はかなり短かったように思われます。他の黒曜石の露頭や、山々に散らばった黒曜石を見てみなければわかりませんが、私がこの地をまわった範囲での観察結果では、この地付近のいくつかの火口より黒曜石が噴出していると思われます。また同時に噴出時期の地表環境も、その都度違ったように思われます。多分、この地は海の底にあった時期があります。海底火山で噴出した黒曜石、この地が何らかの理由で隆起し風化の影響をうけたもの、水の流れで丸くなったものなどの黒曜石もありました。

 面白いことに、噴煙とともに火山灰などと一緒に飛ばされたような黒曜石もたくさんあり、中には黒曜石の溶岩状態で飛んできたと考えられるような、ガス抜けの黒曜石もありました。

 この文章の内容は、あくまで確認した標本から想像したものであり、実証を伴う話ではありません。さらに、あくまで岩石の素人の考えです・・・が、大きくは間違っていない自信はあります。岩石の素人の皆さん おおいに夢を膨らませてはいかがでしょうか。

 化学の発展はまずは素人的な発想の広がりがとても重要です。固着した考えからは新たな事実を発見する知力が生まれません。

 

 頑張れ!未来のこどもたち。未来の大科学者たち。


 

角ばった表情を見せる黒曜石
角ばった表情を見せる黒曜石

 上の写真の地層の中にあった黒曜石。この地層には15㎝から20㎝程度の大きさの黒曜石が見られる。

    

  

  

 この標本も地層の中にあった岩石です。層がよくわかる黒曜石です。磨くと、とてもキレイな縞模様が現れると思います。




 この標本も同じく地層にあったものです。マットな部分と、光沢のある部分が自然に出来たものです。

 

 

 

 上の地層の近くの川の中で見つけたものです。地層の中の黒曜石とは異なる表情を見せています。




 上の標本写真の裏側部分になります。岩石表面が長年の水の流れを受けていたのでしょうか、反対面の荒さは少なく若干丸みを帯びております。採取地は小さな川の流れでしたが、何年経過するとこの様な表情を見せるのか、興味深いところです。

 この採取地より標高が低い地点の標本は、一様にこの斜面の標本より小さな黒曜石でした。素人の考えですが、黒曜石が地上に噴出した火口が、ここから近いようです。




  上の写真は、川の中の採取品です。




 川の付近で見られる黒曜石です。石の大きさは5㎝くらいの大きさが主です。




 ガス抜けのような跡がみられる黒曜石です。













≪白滝の黒曜石≫

アジサイの滝付近の黒曜石
アジサイの滝付近の黒曜石

 「ザリガニは持ち帰っても良いが、黒曜石はどんな小さいのも持ち帰ってはダメ!」と言いながら、無駄に黒曜石の滝に近づき過ぎ「ガラス質の白い黒曜石」を、踏み砕き続けるジオの案内人たちと御一行様。

 もったいないなぁ~板状のクリストバル石?かな~実態顕微鏡で見てみたいな?

 

 

 下に紹介する写真は、石の専門家を始めとした人々から「質の悪い黒曜石」と呼ばれる黒曜石より、さらに質の悪い(?)と言われるとても良い標本です。 

 紅十勝等と呼ばれる黒曜石としては成りそこないの石ですが、珪質の純度が高い標本より、黒曜石の生い立ちがとても分かりやすく、岩石の初学者の方にも石の成りたちが分かりやすい、優れた標本です。

 

 

 湧別川で見つけた黒曜石になりきれなかった岩石標本

黒曜石入り溶結凝灰岩  赤い筋脈が質の悪い黒曜石です。

 

 この地の黒曜石は紅十勝などと呼ばれ、黒曜石に赤の筋がきれいに入ったものを言うようです。学者さんや専門家の方々に「どうして赤くなるのですか?」と、質問すると一様に「岩石中の鉄分により赤くなるのですよ」と、言われます。でも、私が知りたいのは何故赤と黒とはっきりとした模様になるのかが一番知りたいところです。単純に鉄分が多いと言うだけでは、赤と黒が分かれた黒曜石にはならないはずです。全体的に黒と赤を混ぜると、違った色になるのは容易に想像がつくはずです。

 では、紅十勝と言われる黒曜石が何故色が分かれるのかと言うと、溶岩状にあった黒曜石の時のある出来事で混ざったと考えるのが妥当でしょう。紅十勝のようにうまく色が混ざるためには、黒曜石が溶岩状態時に於ける温度や粘度、珪質度などと赤色の黒曜石の溶岩状態に、一定の環境条件が必要となったはずです。この部分が私にとって「どうして赤くなるのですか?」と言う疑問だったのです。

 ところが、湧別川を訪れてみると、誰も採取しないような珪質度の低い黒曜石モドキがたくさんあるではないですか。そんな転石の一つに赤が強い黒曜石モドキが見受けられました。この標本から想像すると、黒曜石モドキはとても珪質分が少ない事が容易に目視できます。紅十勝と言われるキレイな黒曜石も、珪質分が少ない黒曜石モドキと同じような条件で黒と赤が混ざったと考えられます。つまり、黒と赤の部分では容易に混合できるものではなかったという事です。

 

 このような標本は、岩石採取マニアの方も、学者さんも専門家も見向きもしないようなブサイクな石ですが、私にとってはとても貴重な美人さんの黒曜石モドキの標本の一つになりました。正直なところ、キレイな黒曜石の標本からは探る事はできない事を教えてくれる「自慢の一品」です。


  

  

  

黒曜石入り流紋岩